100年ふくしま。コラム

ラマルクな話 音楽工房あんだんて 榊原彩

フランス・日本の文化、暮らしの考察

2017/07/28
007 イザベル

しっかりとアイラインを引き、マスカラを丹念につける。
「私、目が一番印象的だから」とイザベル。
少し上がり気味のアーモンド形の大きな目。
長いまつげが黒く塗られてさらに大きくなる。
ファンデーションも、口紅もつけない。
鏡の中からいたずらっぽい顔で、「こうすれば目が一番目立つでしょ?」と笑う。

胸元が美しければカットの深い服を着、足が自慢ならミニスカート。
話し上手なら話術とユーモアをアピール。

欠点を必死に隠すのが日本流なら、自分の魅力を探してそれを前面に押し出すのがフランス流。
良いところを強調することでいつの間にか欠点なんか見えなくなってしまう。
個性的なフランス人の出来上がりだ。

イザベルに「あなたは?」と問われて考え込む。
欠点はいくらでも思い浮かぶのに。
「あなたはいったいどんな魅力の持ち主?」と問い続けられたフランス滞在だった気がする。

作 者
音楽工房あんだんて 榊原彩


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