100年ふくしま。コラム

現代人は歯がいのち 歯科医院美緒 園田正人

訪問歯科の分野から、健やかな生活のために。

2018/03/30
050 訪問歯科を始めたのは

僕が訪問歯科を始めたのは6年程前になります。
最初は『歯科に通えない人の歯の治療』と思っていました。
外来と同じ治療を家や施設で行うのだと…
全く違いました。

口腔ケアの依頼が病院からあり、数日前から意識がないと申し送りされました。
ところが意識がないはずなのに、口腔ケア終了後に患者さんが、『ありがとう』とかすれた声で言ったのです。
驚きました。意識があったのです。

その後、口から食べられるまで回復し『あの時は、口が乾燥して痛くて声が出せず、唾も飲めなかった。周りの話は全部聞こえていたよ』と言われました。
想像してみてください。
意識はあるのに、身動きが取れず、痛くて苦しくても訴えることもできない。
恐ろしくなりませんか?

その他にも、入れ歯を3年外していない、歯が自然に抜けて肺に入った、顎の骨が腐って落ちた等々、在宅での口腔に対する関心は低く、気づかない不幸な事故を起こしていると感じ、事故の予防になればと訪問歯科を続けてきました。
最近は関心も高まりましたが、歯科は専門性が高いので気づきにくいのが現状です。

今回は50回目との事で訪問歯科のきっかけを書かせていただきました。

作 者
歯科医院美緒 園田正人

現代人は歯がいのち もくじ

TOP

© 2020 100年ふくしま。コラム