100年ふくしま。コラム

現代人は歯がいのち 歯科医院美緒 園田正人

訪問歯科の分野から、健やかな生活のために。

2021/10/26
090 噛めなくても犬歯は必要?

人間の歯の中で一番長いのは犬歯です。訪問診療に行くと、犬歯だけ残っている事がよくあり、この犬歯が原因で、歯ぐきや唇に傷ができる場合、抜歯→入れ歯となります。
入れ歯が使えれば問題ありませんが、使えない場合、抜歯をすると飲み込みが悪くなる人がいます。なぜでしょう?

舌は、飲み込む時、上顎にくっつくのですが、舌を上に上げるためには、舌先をどこかに接触させ、固定しなければなりません。つまり、犬歯は、舌のアンカー(固定)の役割をしていたため、なくなると飲み込みにくくなってしまうのです。
また、舌が上に上がりにくくなると、空気を飲み込む量が増えてしまうので、腹部膨満感・げっぷ・おなら・吐き気など、呑気症の症状が出る事もあります。高齢者では、食事量が減ってしまい、低栄養を引き起こす事もあります。

半年~一年で考えると、抜歯→飲み込みにくい、空気を飲む→食事量減少→低栄養→寝たきりもあり得るのです。

歯の維持は半年後の健康寿命に大きくかかわってきます。歯を維持し、いつまでも健康でいましょう。

作 者
歯科医院美緒 園田正人

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